JAAF第18回コーチングクリニック(2015/2/11)
日本陸連が主催する指導者研修が毎年東京と神戸で開催されます。
陸上関係の研修はサッカーに比べてダントツに少ないですので、できるだけ参加するようにしています。
このクリニックは、主に中学や高校で優秀な選手を輩出した指導者が講師になり、その選手をどう指導してきたかをお話してくれます。
今回は800mで高校新記録、100mで中学新記録を樹立した2人の先生が講師です。
お昼をはさんで、それぞれ2時間30分の講演です。
ちなみに昼食として弁当が出ます。
アシックスが共催なので記念品としてタオルなどがもらえます。
いいなあと思いきや、参加費が一般7000円、有資格者5000円なので結構な負担ですね。
毎年、北海道から沖縄まで100名の指導者が参加します。
ちなみに、800mの高校記録は1分48秒08です。私が走ると600mを過ぎたあたりでしょうか。
100mにいたっては、中3で10秒56です。すごいですね。
個人的に参考になることをメモしておきます。
同じ練習をすれば、私も自己ベストを更新できるんじゃないかとモチベーションが上がりました。
前田恋弥選手のトレーニング実践報告
トラックから駅伝までの年間トレーニング
船橋市立船橋高等学校 中村 康 先生
練習環境
学校のグラウンドは主に140人の部員がいる野球部が使用しているので、4km離れた陸上競技場、10km離れた総合運動場、8km離れた幕張の浜まで練習している。
- 陸上競技場
短距離はバスで移動、中長距離はUPをかねてジョグ - 総合運動場
3kmまでのクロカンコースとして使えるが、使用料が350円もかかるので、1週間に1回の利用 - 幕張の浜
短距離陣が砂浜ダッシュをしていたが、長距離陣も加わるようになった。
トレーニングの考え方
- 中距離・長距離に必要な要素として最も重視しているのは「スピード持久力」
- 100m14秒で走れる選手は多いが、同じペースで800m走れる選手は少ない
- 200m28秒、400m56秒、600m1分24秒、800m1分52秒←同じペースで走れる選手は少ない
⇒スピードを重視するのか?持久力を重視するのか?の指標として100mのスピードを上げるよりも、スタミナ練習に重きをおいている - スタミナ練習を重視すべきだが、嫌いな選手が多いので、スピード練習をしたがる
- 100m14秒のペース走、8本すればいいのじゃない?
- スピード練習をするとスタミナがなくなるのではといわれているが、実際は違うのではないか?
⇒長い距離を走りために小さなフォームになってしまう→大きなフォームへの移行が出来ていなくてスピードが出ない - 基礎体力が重要・・・故障しない体をつくる
→タイム設定しながら持久力をつける
→(春先から)体に余裕が出てくるので、技術練習(ドリル・ハードル補強)
テーマ
長い距離でも短い距離でも見た目が変わらないフォーム
走りこみ期
- 比較的長い距離をタイムを気にせずに走る
- 基礎体力作り←一番重視
①朝練習・・・6~8km
②授業・・・構内マラソン大会用の授業で週3回4~6km
③補強・・・砂浜、足底マット、タイヤ、下半身強化(腰まわり、太ももに力が入らない⇒タンジ)、器械運動(倒立、ブリッジ)、ストレッチポール(不安定な状態を作り弱点を見つける) - 砂浜(裸足)
100m20秒から上げていく。30本3人組(本数多く)、短距離は5人組ぐらいで競わせるのが良い
バウンディング、ランジ、低重心でのランジ、メディシンボール(20回づつ6種類計120回、砂浜では不安定感が出る、上半身はメディシンボールで下半身は自分の体重で)
砂浜でやった後に競技場でできなければ意味がないので、100m5本をやって動きの確認・感覚づくり
足底が張ると思うが、腸腰筋が痛いという
10日に1回ぐらいの割合 - グランド
タイヤ引き・・・80mを何本か→流しを入れてフォーム確認
タイヤ引きランジ、深いランジも
足が上がって理想のフォームになる - 足底マット(厚さ3cmぐらい)
足の裏の拇指球を使って踏ん張れるか、爪先立ちつま先上げ、端でカーフレイズ、前後にキック(左右のバランス)、その場もも上げ - ストレッチポール
腹筋、腕立て、側屈足回し、腕立て - クロカン
下り50m上り100m平地50mの直線、ランジ
※これらの補強は映像でも紹介されて、ぜひ私もやってみようと思います
スピード導入
- 同じスピードでいかに距離を持続できるか
- 長い距離からみ短い距離への移行
スピード導入時の実践内容
100m往復走(120mのコース10m、100m、10mの直線で10m歩き→インターバル20m歩き)
4~5往復(トータル800~1000m)×2~3セット+300m1本(フォームを意識)
設定タイム 15秒×8→14秒×8→13秒×8(厳しい)
セット間10~15分(十分休憩)
※この練習やってみよう
マーカー走の導入
ラスト200mで仕掛けれるように、30mごとにマーカーをおき、意識付けする。
また、30m・25m・20m・15m・9m・6m・3mのマーカーをおき、マーカーにきたら回転をあげる意識をつける
⇒ラスト80mでストライドが大きくなり間延びするのを防ぐ、スピードの現象が最小限になる
質疑
・400m800m型であれば
600ぐらいまでは行けるが600以降がいけない、上げ下げについていけないという課題をクリア
→冬の11月12月に6~8kの走りこみ、1000m走れるようにする→600m以降持つ
(800・1500型だと1500mや5000mが走れるように)、3000・2000・1000mも
★1000mが走れるように
100m200mの選手なら400mを走れるように
中学最速スプリンターへの軌跡
宮本大輔が取り組んだ3年間のトレーニング
爆発的な加速力を獲得するために
山口県周陽中学 藤田 昌彦 先生
宮本選手の話は省略し、全体的なトレーニングについてメモします
トレーニングの実際
90mの坂道コースがある
超回復理論を活用し、3~4日に1回坂道全力3本(歩いてすぐダッシュ)を行う
宮本選手はUPでジョギングしない、桐生選手もしない
→トロトロした動きは必要ないのではないか、やってはいけないのではないか
500mをダーっと走らせる
最初の3歩が大事
流しはしない
削ってここだけはやったほうがいいトレーニング(シンプルな練習)
- ブロックを使ったスタート練習(スタートのみでダッシュしない)
- コーナー走(コーナーイン、コーナーアウト)
- バトン練習
タイムを計らない→タイムを測ると全力を出して、毎日すると無理をしてケガをする
短距離ブロック基本トレーニング
24種類のドリルメニュー
- 練習始まって40分間毎日実施
- 30mの往復で1つを60m行う(Aの14種類×60m)
- ラダーはやり方を教えたらシャドウで(時間効率)
- 縦になるとだらけるので、横に広がって横一線でやる
- 加速走は助走付き30m走ではなく、アップシューズで芝生でスタンディングから30~40mで加速して高まってくるところまでで終わり
このメニューページをUPします→270211-JAAF(PDFファイル)
↓クリックで拡大します
最後に
- 強かった選手の練習計画は参考にする
- 指導者は自分が選手としてこれまでやってきた練習内容(既成概念)から離れる
- 目的は同じでも方法の異なる練習メニューを多く持つ(特に悪天候時)
- 選手の力を信じる、信じてみる
- 指導者自ら感謝の気持ちを持つ
- 厳父のごとく慈母のごとく
試合でダメだった場合にしかるのは×(試合でがんばらない選手はいない)
がんばり方や準備が不足していて結果が出来なかったら指導者が悪い
しかって育てられた選手は、しかる指導者になる
ほめて育てられた選手は、ほめる指導者になる
質疑
・スタート練習
前傾をして1歩目から大きく
桐生選手は1歩目は大きく、2歩目は小さく、3歩目は大きく。
宮本選手は1歩目大きく、2歩目大きく、3歩目大きく、しっかり体重乗せて腰乗せて踏ん張って
・加速して後半の走り
加速の最高点をゴールに近づけて、最後はまとめる(まとめるのは高校でもよい)
小さい子ほど加速の終わりが早い(3歩で終わるときも)
2次加速の感覚をつかませたい
・タイムを計ったほうがいいのでは
タイムを計るのはモチベーションアップのために必要で否定はしない
スタートをうまく切らせたいのなら雑なスタートになってしまうのでタイムは計らない
・ケガを防ぐための予防的なトレーニング
①上半身と下半身の連動で無理なく走りの動作が出来る、長い距離の動作作り、10mではすぐに終わる、30mでやることで連動する
②けがをしそうな練習はしない、ハードルもくぐるがジャンプはしない(ジャンプ系はしない)、メディシンボールもぶつかると危ないのでしない、試合の次の日に筋肉痛になるということは自分の力以上のことをしており、それを毎日すると危険
・ほかの部員たちのモチベーションは
昨日より今日、今日より明日という集団作りをしている
中学生期は始まりから終わるまで止まらない、自分たちでうまく運営していく練習の作り方
・追い込むときの練習
強弱をつけるという意味では30mを半分の15mにする
30mの往復の帰りを別メニューにする
追い込みメニューは坂ダッシュのみ
普段の練習では7~8割使って終わり
日本陸連の案内
http://www.jaaf.or.jp/athlete/
第18回JAAFコーチング・クリニック
例年、指導者の皆様から大変好評を得ております「JAAFコーチング・クリニック」を下記の要項に沿って開催致します。
全国の情熱ある指導者のご参加を心よりお待ちしております。
今回は、藤田昌彦先生(山口・周陽中教諭)と中村康先生(千葉・市立船橋高校教諭)をお招きします。
藤田先生は、今年5月に男子100mで10秒56の中学新記録を樹立した、宮本大輔選手の指導されております。
中村先生は、先日行われた長崎国体の男子800mで1分48秒08の高校新記録を樹立した前田恋弥選手を指導されております。
この講習会は公認スポーツ指導者の「義務研修」として位置付けておりますので、指導者資格をお持ちの方は積極的にご受講ください。全国の情熱ある指導者のご参加を心よりお待ちしております。
この講習会は公認スポーツ指導者の「義務研修」として位置付けておりますので、指導者資格をお持ちの方は積極的に受講して下さい。
開催要項
主 催
日本陸上競技連盟
共 催
アシックスジャパン(株)
運 営
日本陸上競技連盟普及育成委員会
日 程
2015年2月11日(水・祝) 10:00~17:00(9:30受付 昼食1時間)
会 場
(株)アシックス 神戸本社内
講 師
藤田昌彦先生(山口・周陽中教諭)、中村康先生(千葉・市立船橋高校教諭)
参加者
JAAF公認ジュニアコーチ(日体協公認指導員)・JAAF公認コーチ(日体協公認コーチ)、中学・高校・大学・実業団の指導者
定員
100名(先着)
参加費用
受講料7,000円(日本陸連公認指導者資格有資格者の方は5,000円)
* 参加費用は理由の如何に関わらず返却はできません。
* 宿泊斡旋はしておりませんので、各自でお願いいたします。
問合せ
日本陸上競技連盟 「コーチングクリニック係」
TEL:03-5321-6580 (平日:10:00-18:00) 担当:三宅・藤代・畔蒜
FAX:03-5321-6591
*尚、諸事情により内容及び講師には、若干の変更がある可能性がありますことをお含み置きください。
*ビデオでの撮影は諸事情によりできない場合がありますので、ご協力よろしくお願いいたします。
申し込み
必要事項を下記にご記入いただき、お申込みください。
先着100名で、定員に達し次第締め切ります。
折り返し参加料納入のご案内をお送りします。