日本体育協会公認アシスタントマネジャー養成講習会 2日目 (2011/8/21) その1
日本体育協会公認アシスタントマネジャー養成講習会
2日目 (2011/8/21)
京都府スポーツセンター
9:00-12:00 クラブのつくり方・運営基礎
12:40-15:40 〃
15:50-16:50 クラブ、スポーツ団体の会計・管理
クラブのつくり方・運営基礎(立命館大学 長積先生)
昼休みをはさんで6時間の長丁場です。
講義とグループワークがあります。
この6時間でも、あっという間の濃い時間で、最後の会計部分で時間が足らなくなりました。
眠気も起こらず、しっかり集中することができました。
内容は、実際にクラブを作って運営していくときの心がけと持続させていくための仕組みについて事例を交えながらの講義でした。
人によって、今回の講義のとらえ方は様々でしょう。
クラブという組織をマネジメントするときに、どんな働きやどんな役割を担っているのか
クラブの立ち上げや運営に必勝パターンはない
クラブのゴールは立ち上げをして設立するところではない。クラブを設立した後にクラブで何をするのかを考えなければならない
クラブで地域の夢や希望を語るためにクラブで何を成し遂げたいのか、クラブが希望が持てる組織作りにするためにはどうすればいいのか
クラブを育成するのは、「豊かなスポーツライフを創造」という目的を達成するための手段としてクラブを育成するはずなのに、クラブを作るのが目的になってしまっていないか。最近のクラブは行政などから促されて設立されているのでクラブ設立が目的になっていることがある
地域の思いが詰まった理念とミッションをもってクラブ育成に取り組む
マネジメント
クラブの売りと魅力を一言で説明できるか?
クラブで地域に存在する意義は何か、クラブでどんな成果を成し遂げたいと思っているのか、をはっきりとさせる
ビジネス=事業
組織は事業をすることで目的を達成できる
何をするのかではなく、何のためにするのかを問う
ビジネス=ソリューション(解決策)、地域の様々な思いをどうしたら成し遂げられるのか、地域の人にとって解決策になっていなければならない
地域でこんなことがあったらいいなあと思っている人が多くいる
その想いをソリューションとしてうまく事業化し、形にできれば、解決していく
例えば、野球をやりたいと思っているのに野球をやるチャンスが得られないなら、野球をやりたいと思っている方々の野球をする機会をひらく、ということも、ある意味、ソリューション、ビジネス、事業になる。
ソリューションを考えるとき、クラブ(組織)としてどのような成果を成し遂げるかを考える
例えば野球のチームを作る→つくることではなく、つくることでどのような成果を成し遂げたいのかを考える
日常生活では「つくる」ことにエネルギーをそそぎがちである
ツールにばかり頭がいってしまい、それによって何を解決したかったのかを忘れがち
クラブを作るのが手段であり、クラブでどんな成果を成し遂げたいか
なぜクラブで成し遂げたいと思っているのかを明確にする
何をするのかというのが問われているだけではなく、何のためにするのかを問う
クラブを立ち上げるときの一般的な3つの大きなステップ
ステップ1「理解」
総合型地域スポーツクラブは何?を理解してもらう
やっと教科書に言葉が出るようになった
ステップ2「設立」
地域の特徴を活かしながら設立する
ステップ3「運営」
立ち上げてオペレーションしていく
特に、なぜクラブか?を理解してもらわなければならない
そのために、組織間で人と情報を交流させていくことが重要
演習1
SWOT分析
強みを活かし、新しい機会をあげ、事業化する
弱みに対する脅威をあげて、対処する
※ 頭で思っていること紙に文字に落とすことが重要
経営資源の確保と有効活用
・ クラブをマネジメントするさい、目標や目的を達成するために資源の確保をしなければならない
・ 資源を確保して有効活用しなければならない
・ 一般的には、ヒト、モノ、カネ、チエ
クラブの目標目的を達成するために、経営資源を確保し、有効利用することが必要
地域に埋もれている人材を発掘する
人と組織のマネジメント
・ 職能別、事業別、ファンクショナル(機能)組織
・ 役割を分担して組織が回る
・ 「ごめんなさん」を許容する、ちょっとしたことでも連絡を入れる
・ 一部に負担がかたよらない仕組みづくり(燃え尽きてしまわないようにする)
活動拠点の確保について
・ 拠点施設には、学校施設・公共施設・公共スポーツなどがある
・ 利用効率を上げる工夫、会員の利用を促進する
・ 既得権の再考、利用者を排除してはいけない公共施設
・ いつも同じ団体が独占的に利用するのではなく、有効利用するための仕掛けをする
演習2
活動場所・活動拠点の確保
それぞれの所属しているクラブを想定して
① 具体的な場所・施設の管理形態・施設の特徴・利用実態
② 具体的な活動
③ 施設利用の容易さ・困難性
について、特に①の現状を鑑み、③についてのアイディアを共有する
※ 自分たちの地域でできないことが、なぜ他の地域ではできているのという違いを考える
プラグラムをしていく、事業化をしていく
実際にプログラムを提供していくときにターゲットを明確にしてプログラムや事業をたてているのかどうか
総合型ばかり独占してしまうのではという問題も生じる
いろいろなプログラムを多岐に展開していって、いろんな人が使えるようになってくると、すべてが総合型で統括できている地域はいいけどできていない地域では既存の団体とのすみわけ、自由に使えるところのすみわけをしていかなければならない
そのときに、資源・施設・お金という資源を何を選択して何に集中していくかという「選択と集中」をしなければならない
限られている資源を何かに選択していき何かに集中していかなければならない
すべてができればそれに越したことがないが、与えられた時間・お金・エネルギーの中で、上手く取捨選択しなければならない
選択と集中をしていって決断と責任をとらなければならない
マネージャーがすることは、何に意思決定をするのかという決断をする、みんなの意見を聞きっぱなしではなく、聞いた後にどうするかという決断をする
そして、その決断に基づいてアクションを起こす
限られた資源を有効に配分したいが、プログラムや事業化するときに、クラブが何の目的を達成したいと思ってて、その目的の優先順位はどうなのか、ということを頭に入れておきたい
多くの総合型が陥ってしまう事例で、もっとも難しいマーケティングに挑んでしまうことがある。例えば、公共性が高いための格が高いものをしなければならないと思い、公共性があるために、目的のなかでも優先度の低いことを先にやってしまう。全くスポーツをしない、嫌いという人にアプローチする
公共性を担保するために、そういう人に対するアプローチをしなければならないという心理的な状態が働く
スポーツを嫌いな人を好きにするプログラムをやってはいけないのではなく、組織の中でどれぐらいの優先順位があるのかを考えて取り組みたい
全部できればいいができないので取捨選択して何かに資源を投入して資源を集中させるときには、優先順位は成し遂げたい成果で決める
クラブの魅力アップと住民の心をつかんだプログラム
子どもたちを集めたいのに集まらない
大人の発想ではなく子どもたちのニーズに応じたプログラムをする
子どもたちにさせたい思考ではない
→子どもたちのニーズに「気づく」「キャッチする」工夫
スポーツつながりではない人に関わってもらう(芝生化、屋台)
→アイディアを連鎖させる地域内ネットワークにより当事者意識を促す
小中高校生の交流を促進するプログラム→地域で見られているという意識が芽生える、高齢者との交流でもある
→世代間交流の意味と副次的効果を示した地域の浄化作用
教育期間の隙間を埋める工夫
部活:中学75%→高校40%→大学20%、割合が下がる
地域スポーツクラブは15%
問題は「引退」があること、引退してブランクがある
引退が足かせになっているなら、引退の期間のときに新しいスポーツの発見・楽しみをプロデュースしてあげる
学校でできないのなら地域で間をつなぐ事業化できるチャンスがある
引退をさせない仕組みは、サッカーのクラブでの一環指導や柔道剣道体操スイミングでは拠点施設での活動はやめにくい
バレーやバスケや野球は引退が区切り
演習3
企画した体験した魅力あるプログラムは
① うまくいった成功要因
② そのプログラムの意味、クラブの目的達成への貢献
③ ダメだったプログラムの内容と失敗要因
クラブの認知度が上がらない、会員が集まらないときに、イベントすべてにかむ(協力や後援でどのイベントにも名前を入れてボランティアを出す)
プログラムの評価
マネジメントサイクルを回すPDCA
特に評価フィードバックが重要
揚げ足を取る、だめだしをするではなく・・・評価のイメージを払拭する
到達度の測定
公正(指名にどれだけ貢献できたか)
何をしたかではなく、どのような意味があったのかを問う
自律性が問われるスポーツクラブ
月額の会費、自己財源率
→大切なのは、目的と手段のバランス
スポーツの投資性価値はかなり低い
スポーツで飯を食っていけるようになれば
自主財源を目指す
収支構造を理解する
→意識してほしい「収支のバランス」と「固定費・変動費」
損益分岐を考える
会費の設定
原価志向、需要志向、競争志向の3種類あるが、クラブは原価志向を使う
年会費・・・会員となるための資格取得費用(事務局経費に使う)
プログラム参加料・・・活動に参加するための費用
今までの総合型スポーツクラブでは
年会費(例えば6000円)を払って、それ以降は一切お金を取らない方式をやっていることが多かったが、ほとんどが赤字。行政の補助金がもらえなくなってきた
プログラムにはいくつ参加してもらってもいいですよと、プログラムの種類は増え、コストはかかるが、入ってくる収入は会員が増えない限り絶対に追加再生産できない
したがって、年会費・参加料でやるべきである