社会保険の届出関係の事務はルーチンワークですが忘れがちなので年間のスケジュールをまとめておきます。また、起業するときの手続きについても、まとめておきます。
原則として、法人事務所は従業員がいない1人役員でも必ず社会保険事務所への届出が必要です。
役員報酬を「0円」にすることはここでは想定外として、役員報酬があることを前提にすると、届出時には自分自身で社会保険料を決める=役員報酬を決める必要があります。
役員報酬を経費(損金)として扱うには、毎月変動するような報酬では認められず、毎月一定額の報酬であることを事前に届け出る必要があります(この届出は税務署です)。
社会保険料が負担になるからとか、利益が出て法人税がかかりそうだからといって、役員報酬の金額を随時変更することはできません。変更できるのは基本的に年に1回(従業員総会での決議)と考えてください。
起業すると前職に比べて大幅に収入がダウンすると思います。役員報酬を高額に設定して赤字で繰り越せば将来黒字になたっときに節税対策になる、と考えるかもしれませんが、実は社会保険の負担(自己負担+事業者負担)が節税効果をしのぐバカにならない金額なのです。
できるだけ低額に設定しておくと負担が少なくなります。
いつから適用させるか
申請した日、もしくは登記した日になります。
月中であれば金額は同じですので通常は登記した日から適用することになります。翌月になれば1か月分の年金を未納ということになりますね。ややこしくなります。
健康保険証がまだ発行されていない状態ですので、もし医療機関にかかったら、一旦全額自己負担をするか、事情を説明することになります。とはいっても、1週間程度で保険証は交付されます。
転職後に起業するとき、登記予定日の1日が休日のときは要注意
法務局への登記申請日が登記日になるわけですが、休日は役所は開いてません。したがって、1日が休日のときは2日以降にずれることになります。
すると、無保険の空白日が生じることになります。
この1日のために国保や前職の任意継続に入るのもバカらしいですし高額です。
退職日を1日までにしてもらうといいのですが難しいかもしれませんね。
登記を前倒しする手もありますが、前職の退職日の関係で、難しいことが多いと思います。
したがって、1日はおとなしく過ごして、病院にかかることがないように注意しましょう。
ちなみに、地方法人税の均等割りというのがあり、私の場合は最低額の8万円程度ですが、その基準が1日現在登記されているかどうかということなので、2日登記だと1か月分節税になります。
当然ながら、31日登記にすれば、その月の地方法人税が必要ですし、第1期目の決算期間が前にずれるので変なことになります。
社会保険料(健康保険・厚生年金)の徴収は当月分を翌月徴収・翌月納付
当月分の給与から、当月分の社会保険料を徴収すればいいと単純に思うかもしれませんが、法律上は、翌月の給与から徴収し、その月末に納付するようになっています。
私の給与は月末までの分を20日に支給することに決めていましたので、違和感がないのですが、当月の給与を全額当月に支払うパターンではなく翌月にずれ込んだり、さまざまなパターンがあるので、なるほどと思ったりします。
ただし、当月徴収・翌月納付でも運用上は問題がないようです。
実はこの当月徴収にはちょっと困ったことがあるのです。社会保険料の改定が毎年あるのですが、計算上は間違いないとしても、実際に納付通知が来ないと1円単位でずれてたりします。その納付金額の通知が来るのが翌月後半なのです。したがって、金額が違っていると前月にさかのぼって修正しなければなりません。1人法人だからいいものの従業員がいたら面倒なことですよね。
私の場合は、いまさら1ヶ月ずらすのも、と思っているので、このまま継続します。
起業準備中
- 法人の所在地を管轄する年金事務所に届出関係の書類をもらいに行く(必要であれば相談する)
- 役員報酬の金額を決める(届出は税務署)
- 申請手続きには「登記簿謄本」が必要なので、事前に申請することはできな。
起業後
- 申請手続きには「登記簿謄本」が必要なので、登記申請後1週間程度で登記簿謄本が取得した後に届出をする
- 年金事務所に届出
- 銀行引き落としにするための振込口座を申請するのですが、法人口座がまだ開設されていないと思うので用紙だけもらいう(法人口座の開設は登記簿を添えて申請後に審査があるので最短でも1週間後)。申請用紙は、まず、銀行で確認して印をもらってから、年金事務所に申請する。
1回目の引き落としに間に合わない場合は別途納付しなければならないので、引き落とし開始月を確認する。 - 申請1週間程度で、健康保険証が送付される。
- 申請1週間程度で、標準報酬月額通知書が送られてくるので社会保険料が確定する。
- 当月分の請求書(兼前月分の領収書)が送付されてくるので月末に引き落とされる。
- ちなみに、退職した場合は、6月に国保の加入案内がきますが、法人で加入するので不要です。
年金事務所からのヒアリング調査
- 9月に届出内容の確認調査の呼び出しがありました(新規適用されたところが対象のようです)。
雇用契約書や就業規則、タイムカードの状況、源泉徴収簿、給与明細などの書類を持参する必要があります。
これ1回だけでした。
日常業務
算定基礎届
- 毎年6月頃に算定基礎届等の提出依頼があります。提出期限は7/1から10日間程度です。
- 4月に起業しても、必ず届きますので、提出内容は同じですが、必ず提出してください。
私は4月に提出したばかりだったので放置してしまい、提出してくださいハガキが届きました。
被扶養者確認
- 毎年6月頃に被扶養者の確認書類が届きます。
国保からのお知らせ
- 毎年3月に市町村の国保担当から、適用変更者があった場合の届出案内があります。3月末での退職などで国保になる人を対象にしています。
そのほか
- 毎月請求書に同封されて「協会けんぽ」便りや事務連絡があるのですが、6~7月ぐらいに9月からの改定の通知も入ってます。年途中の改定があるときもあります。
- 社会保険料を自動計算しくれる「給与ソフト」の利用がおすすめです。
起業時の私の日程まとめ(平成26年)※何かと忙しい
- 登記申請(4/1)
- 登記完了・登記簿謄本取得可能(4/9)
- 三井住友銀行の口座開設申請(4/9)
- 標準報酬月額通知4/16付(4/17)
健康保険所の送付4/16付(4/17) - 三井住友銀行の電話審査(4/21)
- 三井住友銀行の口座開設(4/22)
- 社会保険口座振込み手続き(4/22)
- 第1回目4月分の口座引き落とし(6/30)